20日(木)・21日(金)の2日間にわたり、群馬県公立高校入試が実施されました。前期・後期に分かれて行われていた入試が一本化されたのは昨年のことです。今回はその2年目となりましたが、どのような傾向が見えてきたでしょうか。
※ なお、現在の入試は筆記試験のみではありませんが、内申書や面接の評価は高校ごとに異なるため、本記事では筆記試験に焦点を当てて述べます。
現行学習指導要領を強く反映した出題
現行の学習指導要領では、「知識・技能」「主体的に学習に取り組む態度」、そして「思考力・判断力・表現力等」の3つが柱とされています。
今年の問題も昨年同様、すべての教科で基礎・基本を重視しながら、「思考力・判断力・表現力」を問う問題が多く出題されました。
「思考力・判断力・表現力」を問う問題とは?
一言で説明するのは難しいですが、以下のような特徴があります。
● 複数の文章、グラフ、資料を読み、それらをもとに答えを導き出す。
● 単に数字や記号、用語などを答えさせるのではなく、その過程を説明させる。
具体例として、国語の大問1では、2つの文章を比較し、それぞれの相違点を表にまとめる問題が出題されました。また、数学では、自ら方針を決め、解答に至る過程を記述させる問題がありました。
実生活や社会問題を意識した出題
学校で学んだことが実社会でどのように生かされるのか、また、社会の出来事が学校の学習とどのように関連しているのかを問う問題も見られました。
具体例:
国語では、群馬県内で増加している在留外国人との多文化共生をテーマにしたプレゼンテーションに関する問題。
社会では、SDGsの目標の一つである「すべての人に健康と福祉」をテーマにした問題。
数学では、ラーメンのチラシに記載されたラーメンの重さと料金の関係を関数で問う問題。
※ インターネットに掲載されている問題のURLを以下に貼っておきますので、ご興味がある方はご覧ください。
🔗 産経新聞『<速報>群馬県公立高校入試の問題と解答』
「昔よりも難しくなった」と感じる?
昔のテストや入試のように、暗記すれば解ける問題や、同じパターンの問題を繰り返せば解ける問題は減少しています。そのため、保護者の方や大人から見ると「昔より難しくなった」と感じるかもしれません。それでは入試に向けてどのような学習をしていけばよいのでしょうか。
どんな勉強をすればよいか?
① 基礎を固める
学校や塾で各教科の基礎事項をしっかりと習得し、"使える"ようにすることが重要です。これは昔と変わりません。学力のベースは基礎知識の定着とそれを適切に使えることにあるからです。そして以下の②~④を含めて、この①が一番重要です。
※「思考力を問う問題が増えたからといって、基礎知識の量が減ったわけではありません。むしろ増えている教科もあります(例:英語の単語)。」
② 読解力を高める
群馬県公立高校入試に限らず、他の都道府県の公立高校入試や大学入試共通テストでも、文系・理系を問わず、文章を読ませる問題が増えています。
そのため、文章を速く読み、要点を的確にとらえる力が必要です。つまり読解力をきちんと身に付けておくことが大切です。
③ 思考力を鍛える
現行の学習指導要領では思考力を重視しています。「思考力」といっても、一概に述べることは難しいので、以下のよう思考力の例を挙げておきます。
試行錯誤しながら考え抜き、一つの結論に至る力。
複数の文章やグラフ・資料を読み取り、それを整理・分析する力(次の④と関連)。
文章から必要な情報(数字など)を抽出し、別の問題に応用する力。
④ グラフや資料の読み取りを強化する
グラフや資料を読み取る力は、理科や社会だけでなく、国語や数学など他の教科でも求められています。
例:
国語:「多文化共生」に関するプレゼンテーションを扱った問題。
数学:統計に関する単元の学習が早まっており、グラフや資料の読み取り・作成が重要視 されている。
まとめ
こうして見ると、30年前と比べて学習内容が多面的かつ複雑になっていることがわかります。しかし、この変化は時代の流れを反映したものです。
なぜなら、AI技術の発展やグローバル化により、従来の知識や考え方だけでは対応できない社会問題が増えているからです。
これからの時代に求められる学力・能力には、上記で述べた 読解力・思考力・資料の読み取り力などが含まれています。
つまり、現在の高校入試には、これからの社会で不可欠となる力が反映されているのです。
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